2009年08月17日

『父と暮せば』(作・井上ひさし/演出・西田正)@新生舘シアター

『父と暮せば』(作・井上ひさし/演出・西田正)@新生舘シアター

ホントは『塩狩峠』と二本立てだったんだけど、休憩時間に緊急の仕事呼び出しメール喰らって急遽帰宅。それゆえ本作のみ観劇。教訓。芝居の休み時間にメールチェックはしないこと!

二人芝居である本作、原作も未読だし映画版も見ていない。今回の公演で初めて接した。良かった。何度も目頭を押さえた。原爆で父(井岡薫)や友人のすべてを失った娘(久保田涼子)が、被爆の後遺症や、「自分だけが生き残ってしまった」という後ろめたい気持ちに苦しみながら、死んだ父の幻影と生きていく姿を描いている。

ユーモアをたっぷりまぶしながら、少しずつ被爆者の悲劇を焙り出す構成術が絶妙。井上ひさしってこういうのがホントうまい。ひとつ思ったのは、それが被爆体験であれなんであれ、女性を主役に据えたことで、その事態に対する感受性が広がり、肌感覚となって伝わるのだな、ということ。見ているこちらも感性が柔らかくなるし、まがまがしい出来事に対峙する心の持ちようが、なんつうのかな、ノーガードになる。恋愛の話も絡むから感情移入もしやすいし、決して露出されることのない左肩の傷跡も、女性ゆえにいっそう痛々しい。それは娘役・久保田さんの体つきや顔立ちが役柄によくフィットしているというのも大きい。彼女の持ち前の明るさと清潔感が、主題のおぞましさを解毒する効果を挙げている。お父さん役の井岡薫も愛嬌と悲しみの入り混じった演技が良かったです。でもわたくしは久保田さんファンなので、不謹慎ながらモンペ姿に萌えました。てへ。
posted by minato at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。