2009年09月20日

『小鳥の水浴』(作:レナード・メルフィ、演出:田辺日太)@池ノ上シネマボカン

『小鳥の水浴』(作:レナード・メルフィ、演出:田辺日太)@池ノ上シネマボカン

去年は高円寺で日高ゆりあ版を見た『小鳥の水浴』、その里見瑤子バージョンにようやく“再会”できた。五年前、下北沢で里見さんがヒロインを演じたこの芝居に受けた感動についてはさんざん書いた。でもこの日の再会にはびっくりした。これまで見たどのバージョンともまったく違った。熱いヒューマニズムに魅入られてきた芝居だが、今回、この劇のダークな側面、すなわち人間に対するシビアな視線、不条理劇としての持ち味、絶望的なまでに痛ましい孤独な魂……がくっきり浮き彫りにされていた。非常に面白かった。演劇ってものの奥深さに改めて気づかされたお芝居でもあった。

ヴェルマは病んでいる女だが、今回はのっけから「病み」全開。痛々しさもここまでくると怒りに近い感情をかきたてる。対するフランキーはぐっと覚めた目で彼女を見つめ、徐々に下心をもって接近を図る。ヴェルマを突き放して描くことで見えてくる、フランキーという男。突き放して描かれることで、見る者の人間全般への愛情を問うヴェルマ。何より、情緒やヒューマニズムで話をまとめなかった点に驚いた。創作者の狂気をきちんと押さえていた。すべてが終わってしまった女の墓場をちゃんと見せつけていた。終盤、爆発する里見さんの芝居が凄まじかった。やっぱりすばらしい女優だと思う。

その後、池ノ上から下北沢へ流れ、夜っぴてスペシャルな方々、はたまた、こないだお仕事させて頂いたばかりの方々と飲む。先輩方のお話を伺うと、目から鱗なことがたくさん。見てきた映画を語る池島監督の名調子は、淀川長治に匹敵すると本気で思った。大先輩脚本家G代さんから、「ピンクとは何ぞや」という主題に関して、「うわーっ」と言いたくなるくらい、自分にとっては物凄く重要な、示唆に富むお話を伺ってしまった。そうだ、そういうことなのだ。

http://www.cinemabokan.com/
里見さんのバージョンは21日、23日、25日までやってます!
posted by minato at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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