2010年02月01日

『天国への遠征』『塩狩峠』(キリスト伝道劇団)

『天国への遠征』『塩狩峠』(キリスト伝道劇団)

中板橋イプセンスタジオで『天国への遠征』『塩狩峠』(キリスト伝道劇団)見る。

『天国への遠征』はマイ・フェイバリット作家・椎名麟三作の戯曲。『塩狩峠』は三浦綾子原作の小説を、朗読劇風にアレンジしたもの。どちらも面白かった。

前者は椎名麟三のユーモアとヒューマニズムと「ほんとうに生きる」ことに対する真摯な探求心に打たれ、後者は純度100%宗教劇でありながら、その力強さにはやはり心動かされた。

ただ、後者はどこまでも信仰や自己犠牲の尊さを訴えた作品なので、場が感動的に盛り上がれば盛り上がるほど、批評精神旺盛な観客には受け入れがたいものに映るだろう。「伝道」が主目的の芝居と言えなくもないので、メッセージがストレートな分、引く人は引く。自分はこうした芝居の作劇に興味をひかれるクチなので、いわゆる「感動」とは違った意味で、感銘を受けた。「一粒の麦」ってモチーフ自体がほんっとに好きなのよ。

でもやっぱり椎名麟三先生だなぁ。あの人の世界観、好きだわ。後者に比べると、とても知的な作品だと思う。でも知的にならざるを得ない人の悲しみも、ちょっぴり感じさせるのだな、麟三先生って人は。「純粋」を生涯かけて追求し、自らのアイデンティティとする学生と、「愛」をアイデンティティとする身持ちの悪い女、「信仰」をアイデンティティとする老婆。この三人が死後の世界で「悪魔」と呼ばれるむさくるしい爺さんに出会うって話。みんな、そのアイデンティティの内側に閉じこもって生涯をすごしてしまっていただけ、という展開が何ともぐっとくる。

だから、信仰の美しさを描いた『塩狩峠』で号泣した後、それに対する懐疑のまなざしを投げかける『天国への遠征』で、はっと我に返り、悶々と自問自答しながら帰路に着く、というあり方が俺としては面白いんだけど、残念ながら上映は『天国への遠征』が先なのだった。
posted by minato at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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