2011年03月31日

『アンチクライスト』(ラース・フォン・トリアー監督)『再会』(榎本敏郎監督)

■『アンチクライスト』(ラース・フォン・トリアー監督)。あるひとつの世界観、人間観、あるいは観念と呼ばれるものをいささかの迷いもなく貫いた快作。エデンと名付けられた森にせよ、魔女狩りへの目くばせにせよ、男の脚を貫く鉄の「杭」にせよ、快楽の源泉を断つ自傷行為にせよ、贖罪という主題にせよ、かなり記号的というか、戯画的なまでにキリスト教文化を前提にしているけれど、それでいいんだ、それしかないんだ、という作家の烈しい意気込みがそれらを陳腐化しない。女に対する男のオブゼッションが主題なれど、ロリータの代表格だったシャルロット・ゲンズブールがすっかり熟女と化した即物的な肉体を投げ出すことで、女の強靭さが上回った。ボカシ入りの「衝撃映像」とやらは個人的にそれほど面白いと思わない。密室に男女しかいない、という映画世界が好きなのだ。そこで女が魂を炸裂させている非常事態な感じが好きなのだ。ベルイマンの数々の映画が脳裏にフラッシュバックして、始終ほくそ笑んでしまったよ。やっぱり北欧の宗教映画作家の発想は面白い! 

■『再会』(榎本敏郎監督)。高校生の頃、一学期だけ同じクラスだった女・月夜(栗林里莉)と偶然に再会する男(津田篤)。恋人(森山さちか)に対しても優柔不断で、仕事もままならぬ彼は、月夜にのめり込んでいくのだが……。正直、中盤までは何かこうしっくりこない感じを抱きながら見ていたものの、後半はおおおと唸らされました。あるショットから映画の様相がぐにゃりと歪み、それまで「こう」と信じられてきた世界が、「こうではない」世界へと変転する。そのショットに登場するのが麻田真夕なわけだけど、女優としてはあまりにもリスキーな……けれど世界をワンショットで変えてしまう存在感はさすが。栗林里莉の幼児体型がとてもすばらしいわけですが、その体型にさえキャスティングの理由があるという……。アフタートークで千浦僚さんが言っていたように、映画について始終考えている人ならではのトリッキーな映画だった。ポレポレ東中野で19:00〜。明日まで。
posted by minato at 16:09| 東京 ☀| Comment(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
糞おもんないな!
Posted by at 2011年12月04日 06:11
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。