2012年12月31日

今年もお世話になりました

今年も多くの方々にお世話になりました。

みなさまには感謝の言葉しかありません。

シナリオの仕事自体なかった数年前にくらべると、今年は夢のようでした。

これに慢心せず、今後も精進致します。

それでは良いお年をお過ごしください。
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2012年12月10日

『原発アイドル』月間ギャラクシー賞受賞、『Jim Thompson Book』発売、脚本作『ナイトピープル』&『インターミッション』予告編解禁、『百年の時計』超ロングラン等のお知らせ

ご無沙汰しております。

えー、お知らせすることが多々あるので、ここらで一度まとめておきます。

○構成を担当したNONFIX『原発アイドル』(小野さやか演出)が10月の月間ギャラクシー賞を受賞しました! http://www.houkon.jp/galaxy/gekkan.html

これはほんとに嬉しかったです。構成という初めての仕事で周りにずいぶんご迷惑をおかけしましたし、お声掛け下さった小野さやか監督は凄まじいクリエイターでしたし、被写体となった制服向上委員会はさらに手ごわい存在でしたし……。ただ、ナレーションに大大大好きな阿部芙蓉美さんが参加して下さったことで、個人的には天にも昇る気持ちになったのでした。まさかの月間賞受賞はとても励みになりました。番組は予想通り、賛否両論でした。それで良いのだと思います。自分としても力不足を痛感する部分は多いのですが、参加できたことに強い誇りを持っていたので、こうした形で結果を残せて、とてもほっとしています。

○滝本誠さんによる私家版『Jim Thompson Book』に寄稿させて頂きました。お題は『おれの中の殺し屋』の映画版『キラー・インサイド・ミー』についての論評「蚯蚓腫れは聖痕に非ず〜キラー・インサイド・ミーが映像化によって失ったもの」です。拙稿はともかく、トンプスンの妻のインタビュー(訳は『ホワイト・ジャズ』などの佐々田雅子先生!)やトンプスンの短編、長編の抄録など、ノワールファン垂涎、必携の一冊になっておるのであります。ただ……『Jim Thompson Book』は限定500部なので、入手困難かもしれません。さしあたり、吉祥寺ジュンク堂様に問い合わせをしてみて頂けると良いかと。

自分にとっての滝本誠さんの存在の大きさ、また、ジム・トンプスンに対する偏愛については、かつて映画芸術で書かせて頂きましたが、それがご縁でこうしてお声がけ頂き、なんかもう人生ってどういう仕組みでこういう素晴らしい機会を与えてくれるの、といった感じです。『Jim Thompson Book』を手にとってしみじみ眺めるたびに、(生きてて良かった……)という気持ちになるのです。

○脚本作『ナイトピープル』(門井肇監督)の予告編が解禁されました。

http://www.youtube.com/watch?v=wYhlr_ZWVWg

原作・逢坂剛先生、出演に佐藤江梨子さん、北村一輝さん、杉本哲太さん、若村麻由美さん、三元雅芸さんほか、豪華キャストによるクライムサスペンスです。監督は『休暇』の門井肇さん。撮影は『結び目』の早坂伸さん。作品について色々語りたいこともありますが、これについては別の機会に譲ります。ひとつだけ言うと、ズバリ90分の映画なんです。犯罪映画で90分。しかも、日本では珍しい、市街地での銃撃戦あり。この心意気、是非、劇場で確認してほしいです。

http://www.u-picc.com/nightpeople/
『ナイトピープル』公式サイト
公開は来年初春、シネマート新宿、シネマート心斎橋など。

○続いて、共同脚本で参加した『インターミッション』(樋口尚文監督)の予告編も解禁です!

http://eiga.com/movie/77509/video/
『インターミッション』予告編。
http://pathos-lastmovie.com/
『インターミッション』公式サイト

公開は来年2月23日、銀座シネパトスのラストロードショーとなります。

初号試写で見たのですが、自分はこの映画に参加できて本当に良かったと思いました。共同脚本なのでたいそうなことはしておりませんが、それでも自分を誇りたいです。この作品についても語りたいことが山ほどありますが、今はまだ控えます。自分のような者にお声掛け下さった樋口監督に、心から感謝しています。

○香川県で先行上映中の『百年の時計』が、12月13日まで上映延長の超ロングランとなりました!

http://100watch.net/

先日、どうしても現地でこの映画を見たくなって、単身、高松へ赴きました。
少々長くなりますが、Facebookに書いた短い旅行記を転載しておきます。

*****

『百年の時計』は香川県の映画なので、どうしても一度は現地で見ておきたかった。けれども現実的にはスケジュールが厳しく、まあ無理だろうなあ……と半ばあきらめていた。ところが金丸Pや現地のサポータークラブ他、ご協力下さっている皆様のご尽力で、上映が再三延長された。おかげでうまい具合にスケジュールがはまり、ようやく香川の土地を踏むことができた。真っ先に金毘羅さんをお参りし、その後、ことでんで高松へ向かった。シナハンの際、監督たちとことでんに揺られながら構想を練り上げていった午後を思い出した。

あの日、電車の中には日常的にことでんを利用している乗客たちがおり、それぞれの思いの中に沈んでいるようだった。多少、大げさな言い方をすれば、それぞれの<声>が聴こえるような気がした。乗客一人一人に人生があり、個別の歴史があり、様々の人間関係があり、もちろん仕事や家族や友人や恋人なんかがいるのだと思った。しごく当たり前のことみたいだが、シナリオハンティングというフィルターも相まって、そんな当たり前のことが、ひどく劇的なもののように感じられた。人間が生きている、暮らしを営んでいる、それ自体が奇跡的で特別なことのように思われた。

複数の奇跡の可能性を孕む劇的空間としての電車――そう思った瞬間に、何かが見えたような気がした。こういうことは、現地に行かなければ決して発見できないし、また発想もできない。ワーナー・マイカル・シネマズ高松の劇場客席で身を沈めながら、そんなことを思い返した。

……という孤独で生真面目な時間を過ごしたあとは、映画に関わったり見て下さった方々と飲んで(下戸だからちょっぴり)、たらふく喰って、楽しくお喋りをして、すばらしい時間を過ごし、お土産にすてきな日本酒を頂き、気がつけば夜更けどころか朝が近かったのでした。

短い旅の終わりに、なぜかエルサレム産のチョコレートがてのひらに握られていた。映画作りというのはなんだか想像のつかないギフトをもたらすものなのだ。今、そのチョコをちびりちびりと齧りながら、これを書いている。

***

○そしてそして、絶賛公開中の『私の奴隷になりなさい』、まだまだ全国で上映ですよ!

http://www.kadokawa-pictures.jp/official/watashinodorei/theater.shtml
劇場情報
http://www.dorei-movie.jp/
公式サイト

今年も残り少なくなってまいりましたが、今後とも何卒宜しくお願い致します。
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2012年11月02日

11月3日(土)から脚本作『私の奴隷になりなさい』(亀井亨監督)公開です!!

11月3日(土)から、脚本を書かせて頂きました映画『私の奴隷になりなさい』(亀井亨監督)が銀座シネパトス他で公開されます。

http://www.dorei-movie.jp/
『私の奴隷になりなさい』オフィシャルサイト(※予告編は必見!)

全国の劇場&上映日程は下記のようになっております。

http://www.kadokawa-pictures.jp/official/watashinodorei/theater.shtml

原作はサタミシュウさんの衝撃作『私の奴隷になりなさい』(角川文庫)。主演は今話題騒然の壇蜜サマです! あなたに、壇蜜サマを知らないとは言わせない! 壇蜜サマに翻弄されるプレイボーイに真山明大さん! 壇蜜サマを「調教」するご主人サマには板尾創路さん! 謎の美女には杉本彩サマが! 他にも西条美咲さん、菜葉菜さん、美知枝さん、石井明日香さん、古館寛治さん、ウダタカキさん、草野イニさん、などなどがご出演されております。

すばらしい俳優陣による魂と肉体を赤裸々にさらけ出した演技合戦が見ものですので、何はともあれぜひ劇場でご覧になって頂きたいです。シネスコサイズの画面いっぱいに広がる壇蜜さんのなまめかしい姿態と「感情」を、ぜひ劇場で体感してください。

過激なタイトルやビジュアルから、完全に男性向けの映画と思われているかもしれませんが、女性の方にもぜひ見てほしいなあと思っています。なぜならこの原作って、女性の支持者がとても多いのですよ。亀井監督の映画自体、女性ファンが多いですし。

脚本の創作過程については、現在発売中の「月刊シナリオ」12月号「自作を語る」コーナーに書かせて頂きましたので、よろしければ手にとってみてください。

よく考えたらデビュー作以来の全国公開だ……と、遠い目をしてしまいますが、それもこれも『結び目』を見てお声掛け下さった大森プロデューサーのおかげです。そして、亀井監督とこんな形で四本目のタッグを組ませて頂けたことが法外に嬉しいです。

……いえ、わたくしのことはともかく、壇蜜さんですよ!これは事件ですよ!バンザイ!


『私の奴隷になりなさい』をどうかよろしくお願いいたします!!
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2012年10月19日

脚本作『百年の時計』(金子修介監督)が、10月20日(土)から香川県で先行公開されます!

脚本を書かせて頂いた『百年の時計』(金子修介監督)が、いよいよ明日10月20日(土)より、香川県で先行公開されます。上映館はワーナー・マイカル・シネマズ綾川、ワーナー・マイカル・シネマズ高松、ワーナー・マイカル・シネマズ宇多川の三館となります。

詳しくは下記公式サイトをご参照ください。

http://100watch.net/

振り返れば一年前。あの金子修介監督とお仕事をさせて頂く、という事態の大きさに武者震いしながら……そして琴平電気鉄道開業百周年映画という重責に打ち震えながら……「アート」という主題の巨大さに押し潰されそうになりながら……膨大な資料の山と格闘しながら……とにかく無我夢中、思いっきり直球を投げ込む気持ちで、全力で書かせて頂きました。

自分は脚本家なので、残念ながら撮影現場のことはわかりません。それでも、脚本を完成させる上で必要なシナリオハンティング(現地取材)という工程で、香川の地元の方々には大変お世話になりました。まず何より、取材に際し全面協力体制を敷いて下さった琴平電気鉄道の職員の方々。それから、作品に大いなるインスピレーションとヒント、資料等を惜しみなく与えて下さった高松市美術館の方々。その他、もうここには書き切れないくらい、大勢の方々のお力添えにより、充実したシナリオハンティングが可能となりました。

金子監督をはじめとするスタッフたちと共に、現地各所を案内して頂き、うまいうどんを喰い、たくさんの方々から話を伺い、再びうまいうどんを喰い、そして「ことでん」各路線に何時間も揺られて――。そこで監督や自分が受け取ったものによって、それまで骨組でしかなかったシナリオに、魂と生命力が吹き込まれたと考えています。

電車に揺られるだけという、ごく日常的な時間や空間に、実は驚くほど豊かなドラマが詰まっている――ことでんに乗って黙想することで、そんなことに気づかされました。その気づきは、存分にシナリオに注ぎ込むことができたのではないかと思っています。

先日、完成作品を一足先に見ることができました。もちろん、脚本家ですから客観視はできません。けれど、率直に言います。

めちゃくちゃ感動しました。

主演を務められた木南晴夏さん、ミッキー・カーチスさん、それから、井上順さん、中村ゆりさん、水野久美さん、岩田さゆりさん、木内晶さん、鈴木祐樹さん、近江陽一郎さん、小林トシ江さん、宍戸開さん、桜木健一さん、蛍雪次朗さん、木下ほうかさん、青山草太さん、仁科貴さん、池内ひろ美さん、野口雅弘さん……他、たくさんの俳優陣の素晴らしい演技にひたすら胸を打たれ続け、最後の30分程、ずっと泣いていました。自分の関わった映画でこんな経験をすることは、めったにありません。いや、自分が関わっていなくとも、こんな映画はめったにないのではないかと思います。

今回、準備やシナリオハンティングに際して協力して下さった地元の方々、それからサポーターズクラブの方々、作品上映のためにずっと尽力して下さっている方々に、脚本家として、深く、深く、深く御礼申し上げます。これからご覧になる方々がこの映画をお気に召して下されば、これほど嬉しいことはありません。

僕はこの映画が大好きです。

『百年の時計』を、何卒、宜しくお願い致します!

http://100watch.net/
『百年の時計』公式サイト
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2012年10月14日

NONFIX『原発アイドル』(小野さやか監督)で構成を担当しました

告知です。

10月17日(水)深夜26時10分(18日午前2時10分〜)、フジTV「NONFIX」で、ドキュメンタリー作品『原発アイドル』の構成を担当させて頂きました。

詳細は下記URLをご参照ください。

http://www.fujitv.co.jp/nonfix/library/2012/623.html

監督は『アヒルの子』の小野さやかさん! 以前よりわたくしが大絶賛してきた『アヒルの子』の監督ということで、お声がけ頂いた際は心底驚きました。そして初めての「構成」という仕事……。小野監督、カメラマンの高澤さん、プロデューサーなど、多くの方々の手をお借りせねば何もできませんでしたが、とにもかくにも頑張りました。

ナレーションはなんと……阿部芙蓉美さん! 阿部さんが主題歌を手掛けた『その街のこども―劇場版―』を池袋シネマロサで見たその翌日が、東日本大震災でした。以来、自分にとって阿部さんは特別な存在のシンガーソングライターであったのですが、まさかこうして一緒に御仕事ができる日が来るなんて……。正直、今でも夢を見ているような気持ちです。

そして肝心かなめの作品について、色々と書きたい気持ちもあるのですが、ここはひとつ、一切の先入観なしにご覧頂けたらと考えています。


あえて付け加えるとするなら、本当に、心の底から、見てほしいです。
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2012年09月20日

映画『インターミッション』エキストラ大募集

大変ご無沙汰しております。

いきなりですが、今年の10月、11月、来年の1月、2月と、毎月、脚本作が公開されます。
10月には映画以外の参加作品もご覧頂ける予定です。

なので、お知らせすることが山のようにあるのですが、今日は取り急ぎ、共同脚本で参加させて頂きました、映画『インターミッション』(樋口尚文監督)のエキストラ募集のお知らせです。

『インターミッション』がどれくらいすごいことになっているのか……ひとまず下記URLをご参照ください。なんかこう、呆然自失するようなキャスティングです……。

http://eiga.com/news/20120918/1/

さてさて、エキストラ募集の件ですが、応募締切が9月22日までなので、急ぎ、ご応募ください!
詳細は下記サイトでご確認ください。

http://patosu-lastmovie.com/extra

宜しくお願い致します!
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2012年07月25日

『苦役列車』(山下敦弘監督)

最高だった。何度も泣いた。泣く理由なんてお前らにわかんなくていいよ、と思うけど、「どうしようもない私」を抱えて地の底を這うような暮らしを送る君ならきっとわかってくれると思う。

自分の20代前半のきつい時期が、そのまま描かれていた。だれがどう言おうが関係ない、これが青春映画というものだ。主人公・貫多の疎外感。彼は「普通」ということがわからない。「世間一般」とか「社会通念」というものが、どうしても、どうあがいてもわからない。さびしさを剥き出しにして他者と接することしかできない。だから少しでも優しくされると、甘えてしまう。心の底から「ありがとう」って言えてしまう。「普通」と思える青春をほんの束の間味あわせてくれたことに対して、ずっとずっとその嬉しさを後生大事に抱き続けてしまう。たとえそれが他人には痛ましく映ったとしても。

友達や女の子と海にいくなんて、ボウリングをするなんて、彼のような人間にはありえないことだったんだよ。そしてやっぱりそんな「普通」は長続きしないんだよ。だから書くんだよ。貧しい部屋で、上半身裸で、エンピツを使ってカリカリと机に向かう行為が、どれほど彼の救いになっていることか。どれほど生きていることの慰めになってくれていることか。ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうって思いながら、でも書くという行為に生の実存を感じて、恍惚として、生きている、と思いながら書く背中。監督はそこをきっちり美しく舐めるように撮っていた。すばらしいと思った。

西村賢太原作、いまおかしんじ脚本という、それ以外ありえないような組み合わせに、山下敦弘監督で三位一体が完成している映画『苦役列車』。森山未来が超絶すばらしすぎる。前田敦子が叫びたくなるほど可愛らしすぎる。高良健吾も「普通」の好青年役を好演しすぎる。そして画面に映るそれ以外のキャストの方々が、私的な映画史に響いていちいちツボった。

いまおかさんが監督をした『イサク』によって、なんとかこの業界に再度足を踏み入れることのできた自分は、すなわち『イサク』が二十代のあの鬱屈から解放されるきっかけとなった自分のような者には、決して冷静に見ることのできない映画だった。涙なしに見られなかった。映画館を出てすぐに定食屋で大盛りのめしをかっ食らった。
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2012年07月10日

『ギリギリの女たち』(小林政広監督)

『ギリギリの女たち』(小林政広監督)

○2011年3月11日東日本大震災直後、比較的被害の少ない東京在住とはいえ、ネットやTVに映し出される大津波や地震の映像、絶え間なく都心を襲う余震、デマ、さらには福島第一原発の事故に心底怯えた。不安と恐怖に満ちた暗い都下で、粛々と執筆や打ち合わせを続けていたが、それどころではない、というのが正直な気持ちだった。

○戦争と震災は人為的であるかそうでないかという意味においてまったく異なるが、人の生命や日常を巨大な破壊に晒す点で共通する。アンゲロプロスの『ユリシーズの瞳』では、戦火のサラエヴォで貧乏芝居が上演されていた。スーザン・ソンタグもサラエヴォで『ゴドーを待ちながら』を上演したという(その記録が『サラエヴォでゴドーを待ちながら』という文章にまとめられているらしい)。3.11に対して映画は何ができるか、という問いは、自分には意味も意義もよくわからないが、呆然自失とする日々のなかで手に取ったのはギリシャ悲劇であり旧約聖書であった。古き人々の知恵に何かヒントがありそうな気がしていた。それは映画作りのヒントを探してのことではなく、生きていく上で必要なものを探してのことだった。

○ところで物語とは「劇」という関係性の力学、その磁場がもたらした結果のものである。物語の前に劇が存立する。私淑する小林政広監督の最新作『ギリギリの女たち』は、被災地である宮城県気仙沼市唐桑町を舞台にして、震災そのものを劇の基盤に据えている。大津波の傷痕が生々しい土地で撮影された結果、物語以前の「劇」が、きわめて原初的な形で剥き出しにされた映画になっている。『愛の予感』が映画の構造というものを、大胆かつ強靭に曝け出した映画であったように、『ギリギリの女たち』は、大げさに言うならば劇というものがいかにして(あるいは、なぜ)人類の歴史に存立するのかを、図らずも描いてしまった映画になっている。それは、主体となる三姉妹の人間ドラマではなく、ドラマの行間に滲みでる異様な雰囲気であったり、芝居であったり、ショットのあり方に鮮烈に打ち出されていく。

○冒頭近く、渡辺真起子演じる三姉妹の長女が画面中央奥に居座り、耳障り寸前の声で咆哮し、絶叫し、呪祖のように唸り声をあげ、それから激しい頭痛に蹲る。まがまがしい姉の姿に、二人の妹はうんざりし、受け流し、反撥する。やがて長姉は死んだように眠りに落ちる。まるで地震によって割けた大地に半身を埋めるかのように、あるいは大地と一体化したかのように、昏々と眠り続ける。彼女の眠りに一切の説明はない。ただひたすらに、過剰なまでに眠るのである。その動物的な、あるいは巫女のようなふるまいは、たとえば震災以前であれば精神病院でなければ成り立たないたぐいのものである。だがここではその”不自然”なふるまいがしっくりと作品世界に溶け込んでいく。観客もまた無意識の領域で彼女のふるまいを理解するのだ。なぜなら彼女は3.11を経験した私たちの無意識とつながった存在だから。そして荒ぶる神を鎮めるための演者として彼女は選ばれ、差し出される存在であるから。

○彼女の職業は舞踏家である。2500年前に隆盛を誇ったギリシャ悲劇は、神々へ奉納するために演じられたという。劇の前身は歌舞であり、踊りであった。それら肉体表現が発展し、叙事詩や神話を援用する形で「劇」という形式になったのだ。彼女が舞踏家であるという設定自体きわめて示唆的だが、作品終盤においてその設定が豁然と本領発揮する。ある大自然のロングショット(そのショットの背景、ロングショットにせねばならない理由が実に深い)で繰り広げられる、三姉妹による奇矯な踊りと涙と独白。すべてが容赦なく異化されていくその迫力ある光景は「劇の起源」とは何かを力強く捉え、訴え、そして「祈り」になる。このショットの感動はちょっと言葉にならない。何のために映画があるのか、物語があるのか、劇があるのか、そういったことをショット自体の力で明確に証明している。落涙しました。他にも細部において本作が練り込んでいく「起源」へのまなざしは色々とあるが、それは実際に作品を見て確かめてほしい。

○長女・渡辺真起子のエゴイスティックなキャラクターは、スクリーンを円形劇場にしても十分耐え得る爆発力を誇っている。感嘆しきりだった。次女・中村優子の冷淡に見えてその実、脆い内面を抱えた繊細な芝居。“野良猫”と自らを位置付けることによって何とかアイデンティティを保つ豹のような藤真美穂のひたむきさ。全編、三姉妹を演じた女優たちの演技に釘付けとなった。ジョーゼフ・キャンベルによれば「女性は生命力そのもの」(『神話の力』より)なのだそうだ。男性がせっせと築き上げた社会が根底から崩落した時、すぐさま女性たちのもつ生命力に希望を託してしまうのは、男としていかにも情けないが、こういう映画を見ると、それは疑いようのない現実だという気がしてくる。これは大地を踏みしめている女たちを活写した映画である。つまり今、日本に必要とされている映画ということである。

http://girigiri-women.com/
『ギリギリの女たち』公式サイト
7月28日〜公開
posted by minato at 16:52| 東京 ☀| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月30日

ありがとうございました

『夜だから』ヒロイン公募、先日、受付終了致しました。応募して下さった方々(想定よりずっと多くの方がご応募くださったのでびっくりしました)、ツイッターでRTして下さったり情報を広めて下さった方々、誠にありがとうございました!
posted by minato at 13:05| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月13日

脚本作の映画『夜だから』のヒロインを公募します

○今夏撮影を予定している脚本作『夜だから』のヒロインを募集いたします。
募集要項については下記URLを参照してください。

本気で表現者たらんとする女優をお待ちしております。

http://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=382327925135450&id=100000747369036

劇場公開予定の長編映画において、主要な出演女優さんを広く公募いたします。
希望の方は、以下の応募要項をお読みいただき、プロフィールを送付先アドレス宛て、お送りください。

〇作品タイトル 『夜だから』

〇あらすじ
精神的不調からステージに立てなくなったダンサーのエリカは、知り合いを頼って海辺の小さ な町に身を寄せる。
そこで、タイチという寡黙な肉体労働者と出会い、衝撃的に関係を持ってしまう。
寄る辺なき二人は共に暮らし始めるが、それは魂をぶつけ合うような、激しい愛の旅の始まり だった――

〇作品内容
『ベ ティ・ブルー』『ポンヌフの恋人』のような、女性向けの恋愛映画を目指しています。

〇募集キャスト

@エリカ(20代〜30代前半)
ヒロイン。コンテンポラ リーダンサー
応募条件 今作品におい てヌードになる事が可能な方

A遊郭の女(10代後半〜30代前半)
むかし遊郭だった街に現 れる幻想的な存在。
応募条件 特にありません

※なおタイチ役に付いては、多数のメジャー映画に出演されている俳優さんをキャスティング 済みです。

〇スタッフ
監督     佐藤福 太郎 「みやづのうた」「わらわれもしない」ほか
脚本     港岳彦    「結び目」「ヘクトパスカル」ほか
撮影監督  早坂伸    「結び目」「東京大学物語」「リアル鬼ごっこ」ほか
企画P    大原久澄 (脚本家・日本シナリオ作家協会所属)
制作     Jill Motion   http://www.jillmotion.com/movie.html

〇撮影時期
2012年7月上旬から 中旬にかけて10日間ほどを予定
6月中に本読み・衣装合わせなどあり

〇撮影地 京都府宮津市

〇出演料 応相談

〇プロフィール送付先
matu@soleil.ocn.ne.jp
件名を「夜だからキャス トエントリー」でお願い致します。
同時にメール本文に、【エリカ希望】または【遊郭の女希望】・【エリカと遊郭の女希望】と
必ず記載をお願い致します。
上記の記載がない場合、見落とす可能性があります。

〇プロフィール提出締切 り
2012年4月27日

書類審査通過者の方は オーディション・面接をお願い致します。
大変申し訳ございません が書類審査通過者の方のみに5月7日までに
連絡をさせて頂きますこ とをご了承下さい。

オーディション・面接日
2012年5月11日  東京都内を予定しております。

以上、意欲ある女優さんの応募を、お待ちしております。
よろしくお願い致します。
posted by minato at 08:28| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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